異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「じゃあ、とりあえずユグベルランドに行ってみりゃあいいんじゃねえか?」

「ランディの言うとおりだ。どのみち、旅の目的地も決まっていないしな」


ランディとバルドが私を見て、どうする?と問うような目を向けてくる。


「私は……」


自分の都合に皆を巻き込んでいいのか、悩んでいるとエドガーが柔らかな微笑みを浮かべた。


「雪のしたいことに俺たちも巻き込んで。仲間をもっと頼っていいってこと、きみが俺に教えてくれたんでしょ?」

「エドガー……うん、そうだった」


私は心を決めると、国王にユグベルランドのおおよその位置を教えてもらい、今日は休みにするはずだったのだが、皆とすぐにでも立とうということになった。

たぶん、私が気にかかっていると思って、すぐに動いてくれたのだと思う。

私たちはランチワゴンに乗り込むと、雪降るフェルネマータの町を名残惜しむように振り返って、すぐに前を向く。


お母さん、お母さんはどうしてこのレシピ本を持ってたの?


わからないことに焦りがわいてきて、自然とレシピ本を抱きしめる腕に力が入る。

すると、私の膝に座っていたロキがふいに見上げてきた。


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