異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~


「朝ご飯、持ってきたの。エドガー、まだなにもお腹に入れてないでしょ?」

「え、ありがとう! ひとりだと発明のことばっかり優先して、ご飯を食べるのを忘れちゃうんだ」

「ちょっと根を詰めすぎじゃない? 休憩がてら、私と食べようよ」


本当は発明の邪魔をしないように朝食を差し入れたら、退散するつもりだった。

でも、食事を忘れるまで作業をしているのなら話は別だ。

身体に悪いし、頭も働かないし、効率もよくないと思った私はついお節介を焼いてしまう。

エドガーは作りかけの発明品と私の顔を交互に見て葛藤していたけれど、迷った末に作業台を空けて椅子をふたつ用意してくれた。

私たちは隣り合って、濡らしたタオルで手を拭くとまるでサンドイッチのような様相の『おにぎらず』をひとつ手に取り、かじりつく。

エドガーはもぐもぐと口を動かしている間も、瞳を輝かせながら『おにぎらず』を凝視していた。


「……んぐ、ライスとレタスを一緒に食べたのは初めてだ。肉の甘じょっぱさでライスが進むし、レタスが入ってるから後味はさっぱりする……はむっ」

「生姜焼き入りの『おにぎらず』っていうんだよ」

「『おにぎらず』……初めて聞いたな」


パクパクと物凄い勢いで『おにぎらず』を口に運ぶエドガー。そろそろ詰まらせないかが心配になる。

私がお茶を差し出そうとしたとき、案の定エドガーは咳き込んだ。
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