異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「エドガー、きっと料理をしないんだね。炉は使われた形跡がないし、ポットと冷蔵庫は発明したのにコンロは作らないんだから」
この異世界では火を起こすのが大変だ。
木製のまいぎり式の火起こし器で火を起こしてから、火力を維持するために料理の最中も薪をくべなければならない。
なので手間がかかる火起こしにこそ発明を、と私は思うのだがエドガーは無着手だ。
冷蔵庫の中身も剥けばすぐに食べられる果物ばかりで、料理をしていないのは明白である。
私は苦笑しながら、あらかじめ冷蔵庫から出して常温に戻しておいたレタスとサツマイモ、リンゴを少量使ってロキのご飯を用意する。
「コンロ、エドガーに頼んでみたらいいんじゃない?」
「そうだね。家も冷蔵庫も発明できるんだからコンロも作れちゃいそうだし、お願いしてみるよ。それじゃあ、エドガーのところに行って食事を渡してくるね」
私はロキに朝食を渡すと、『おにぎらず』が載ったトレイを手にキッチンを出る。
外の渡り廊下を通って、離れの作業場にやってくれば、鉄の仮面のようなものをつけたエドガーがいた。
溶接機に似た道具で火花を散らせながら、黙々と作業をしている。
なに作ってるんだろう。
トレイを持ったまま発明を観察していると、少しして作業がひと段落したのか、エドガーが鉄のマスクを脱ぎ去る。
作業台の上にある眼鏡をかけてこちらを振り返り、私がいることに気づいたエドガーは「雪!?」と驚きの声をあげた。