異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
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エドガーの家に滞在すること一ヶ月。
一番大変な作業であるランチワゴンの製造をしてくれているエドガーに対して、私は王様から貰った謝礼金でお弁当箱や持ち運べる椅子や机、制服の手配など外回りの開店準備に追われている。
今日はお母さんがやっていた【ニコニコ弁当屋】の文字とニコちゃんマーク入りのエプロンやのぼり旗ができあがったので、リックベル商店にやってきていた。
「ちゃんとお金はあるんでしょうね? まさか、あれだけの大金を国王陛下からいただいておきながら、使い果たしてなどいないでしょうね?」
「ひ、久しぶりだね、オリヴィエ。うん、お金の無駄遣いはしてないよ」
店主であるオリヴィエは会って早々に、畳みかける勢いで毒舌を吐いてくる。
けれども彼はなんだかんだ言って、世界中どこにいても欲しい食材を買えるように各国に点在するリックベル商店と取引ができる手配をしてくれた。
「オリヴィエはたくさんお店を持ってて、すごいね。最終的には大きなスーパーとか、ショッピングモールを作るとか、なにか夢はあるの?」
「その、スーパー、しょっぴ……なんとかっていうのはなんです?」
あ、異世界にはないんだ。スーパーとショッピングモール。
ついうっかり口を滑らした私は、引くに引けず説明することにした。