異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「スーパーは食品の専門店みたいなお店で、ショッピングモールは洋服とか雑貨とか、日用品が置いてあったり、たまに子供が遊べる小さな遊び場もついてる施設なの」
「へえ……あなたの妄想にしては興味深い話です。他にはどんなことが思いつきますか?」
妄想じゃないんだけどな。
苦笑いしつつ、私は目の色が変わったオリヴィエに自分の世界にあるお店やテーマパークの話をした。
「何店舗も店を出し、利益を得ても私の飢えが満たされることはありませんし、成功にも達成感が得られなくなってきていましたが……。あなたの妄想に、久々に意欲が駆り立てられましたよ」
「オリヴィエは、なにに飢えてるの?」
「さあ? それは僕が知りたいですよ」
一瞬、オリヴィエの声のトーンが低くなった気がして、その顔を覗き込むと「それにしても」と話を逸らされてしまった。
「あなたがお弁当屋ですか。腕はそこそこあるようですし、飲食店で移動販売というのも新しい切り込み方です。これは、大儲けの匂いがしますね」
オリヴィエはそう言いながら、頼んでいたオレンジ色のエプロンとのぼり旗を差し出してくる。
出来栄えを確認すると、お母さんが使っていたものより手作り感はあるが、それもまた温かみがあっていい。