異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~
「皆、行く気満々で準備してきたみたいだけど、雪、出発はいつするの?」
私がロキの頭にヘッドドレスをつけていると、エドガーが腰を屈めて尋ねてきた。
その問いに、私は「すぐにでも!」と食い気味に答える。
エドガーは目を瞬かせて、すぐにくすくすと笑いながら「了解」と言って家の戸締まりを始めた。
私は着替えとお母さんのレシピを、エドガーは発明に必要な工具を持ち、皆でランチワゴンに乗り込むと──。
「出発進行!」
私のひと声で運転席にいるエドガーがエンジンをかけた。
小刻みに震える車内、ゆっくりと前進するランチワゴンに自然と期待に心が浮き立つ。
行き先は決まってない。ただ気持ちの赴くまま、勢いのままに、私たちは自分探しの旅へと出るのだった。