どら焼きにホイップを添えて

「俺は古い男だから、約束は破らないし、嘘もつかないよ。男に二言はないってやつだ」

潔く断言する男らしい倉田さんに、ますます恋心が加速する

どうしよう……かっこよすぎます、倉田さん……。

「はい……。わかりました、信じます……」

「いい子だ。ほら、お兄さんが心配するから早く行きな」

「はい。今日は本当に、ありがとうございました!」

「こちらこそ。また連絡するよ」

車が走り去るのを見送ってからマンションに入り、自分の部屋の前まで来ると一旦立ち止まった。そして、ドキドキ高鳴りっぱなしの胸を押さえて呼吸を整える。

やばい……今、どんな顔してるんだろう。絶対だらしなく緩んでるし、それをお兄ちゃんに見られるのは絶対やだ……からかわれるに決まってるもん。

私は頬の火照りが収まるまでしばらく玄関のドアに背を預け、幸せすぎるデートの余韻に浸っていた。


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