同期は蓋を開けたら溺愛でした

 足取りがおぼつかない私の肩を抱く大友。

「あー。飲みに行きたいな」

「あ、うん。そうだね」

「なんだよ。乗り気じゃないんだな」

 だって、なんだか恥ずかしくて普通でいられる自信がない。

 それに飲みになんて行ったら、もれなくお泊りがついてくる。
 今の大友の色気に当てられたら、何もかもを飛び越えて体だけ深い関係になってしまいそうで。

 大友と、そうなりたくない。

「ま、俺も飲まないけどな」

「飲まないの?」

 お互いに飲みに行くのが好きで、何かと理由をつけて居酒屋に行くくらいだったはず。

 私の疑問は思わぬ答えとして返ってきた。

「泊まってけよ」

「何、言って……。今は飲むか飲まないかって話でしょ?」

 動揺を悟られないように突き返すと、大友は私の頭をかき回す。

「飲みたいけど、酔った勢いでお前に手を出したくないんだよ」

 何、その理由。
 呆気に取られていると大友は勝手に話を進めていく。

「だから願掛けの意味もこめて当分は禁酒。お前もな」

「なんの、願掛け」

 素朴な疑問は大友の盛大な呆れ声へとつながってしまう。

「お前なぁ。そっちも待つって言ってんの」

「そっちって、どっち」


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