同期は蓋を開けたら溺愛でした
16.長かった道のり

 エレベーターを待っていると大友が隣に並ぶ。

「おはよ。朝までは朝まででも、ついさっきまで付き合わされたわ」

 ぼやく大友はあくびを噛み殺す。
 丸一日以上、付き合えばそれは眠くもなるだろう。

 会社のオフィスへと続くエレベーター。
 同期の顔をして隣に立つ大友にトクンと胸が高鳴って困る。

 眠そうな腑抜けた顔なのに、その姿にときめくなんて重症過ぎる。

 けれど、そんな素振りを微塵も出さないように、私も努めて同期らしく返す。

「おはよう。打ち合わせで寝ないでよ?」

「願掛け、今からまた始めれば有効かな」

「どうだろう」

「神様も1回くらい見逃してくれるだろ」

「1回じゃないじゃない」

 意地悪な顔を向け、エレベーターへ乗り込む流れに合わせて前へ進む。

 朝の出社時間には混み合っていて、乗り込むと身動きはほぼ取れない。
 そんな庫内で、私の指に人差し指が絡められた。

 大友の指の行方を、他の人に見られる状況じゃないのは分かっている。
 けれど会社の、しかも他に人がたくさんいる場面での大友の大胆な行動に、微動だにできない。

< 233 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop