同期は蓋を開けたら溺愛でした
気づけばイルカショーは全ての回が終わってしまっていた。
ほとんどの時間、クラゲを眺めてぼんやりしていた。
「どうする? 他も見るか?」
「うん。クラゲだけってのもね」
「俺はそれでもいいけどな。ものすごく贅沢な時間の使い方してる気がする」
大友の言い方が素敵で、つないでいる手にもう片方の腕を絡めてギュッと腕に抱きつく。
「……どうした?」
「大好き、だなぁって」
つい、胸にしまっていた想いが口を出る。
「ああ、そう」
無感動な声を聞いて「クラゲがね」とわざと茶化した。
「おいおい。俺はクラゲに嫉妬すればいいわけ?」
頭をかき回され、笑って立ち上がると、先を歩いていこうとする大友を追いかけた。
クラゲだけってのもね、と言いつつ、次はペンギンのところで同じように眺めるだけの時間を過ごした。
ほとんどクラゲとペンギンだけを見て「そろそろ帰ろうか」と、水族館を後にした。