同期は蓋を開けたら溺愛でした
「……雄?」
「ん? どうした? ほら、イルカショーやるってよ」
「うん」
大好きだよって、声に出して言いたい気持ちを胸の中にしまう。
イルカショーの会場へ急ぐ途中、照明が暗めのエリアに入った。
その中を少し進むと、大きな空間に透き通るクラゲが浮遊する水槽。
暗く深い青の中に白いクラゲが浮かぶ姿は幻想的で息を飲む。
自然と歩むスピードが遅くなり、しまいには足を止めてぼんやりと目の前のクラゲを眺めた。
「イルカショーは次の回にしようか」
穏やかな声で促され頷くと、ゆっくり見られるように設置してあるソファに腰をかけた。
「ずっと見てられるかも」
「ああ。癒されるな」
上から照らされる淡い光が反射して、幻想的な世界を作る。
イルカショーに人が集まっているようで、周りに人はまばら。
「こうやって、ぼんやり過ごすのもいいもんだな」
「うん」
寄り添って、ずっとクラゲの姿を見続けた。