同期は蓋を開けたら溺愛でした

 里美はもったいぶって口を開く。

「驚いていると思うけど」

「そりゃ驚くよ」

「もっと驚く内容を話さなきゃいけなくて」

 里美の台詞に私はゴクリと喉を鳴らす。

 婚約している真紀ちゃんの相手は、実は大友くんでした〜って言われたら、驚くものの、妙に納得してしまいそうだ。
 ここ数週間の大友の奇行は私を驚かせるためのドッキリでした、みたいな。

 いや、ドッキリにしたって行き過ぎているけれど。

 そんな想像をする私へ里美は真紀ちゃんと視線を合わせてから、ひと思いに言った。

「大友くんと真紀ちゃんが付き合っていたのは、見せかけなの」

「は? ちょっと、なんのことか……」

 想像の遥か上を行く内容に、頭を鈍器で殴られたような気がして何も考えられない。
 真紀ちゃんは眉根を寄せ、申し訳なさそうに頭を下げた。

「騙すような真似してすみませんでした。ずっと心苦しくて。でも、やっと話せる日が来て良かったです」

< 85 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop