孤独な私が愛を見つけたら
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私は必死の形相でパソコンに向かっていた。

「宮田、まだ残っていたのか?」

私はそんな声にハッとして顔を上げた。

「坂下さん、今戻られたんですか?」

ひっそりとしたオフィスに私一人が取り残されている。

「ああ、もうこんな時間か。」

坂下さんは壁の時計を見上げる。

時間は10時を過ぎていた。

「取引業者と詳しい条件を詰めていたら遅くなってしまった。」

坂下さんは少し苦笑いをして、私のパソコンを覗き込む。

「三井だな。」

そして私に視線を合わせる。

その近さに私は思わず距離を取る。

「私が三井さんの指示を聞き間違えてやり直しです。」
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