孤独な私が愛を見つけたら
13
頭が混乱したまま、金曜日が来てしまった。

そう、吉田さんと夕食を共にする日。

やっぱり坂下さんは泊まりの出張のようで、朝から会社に居なかった。

あれ以来、あの日の事は全く触れて来ない坂下さん。

その事にスッキリしない想いを抱えているのは、私だけなんだろうか。

「今晩は変更なしで良いわね。」

昼休みに香織さんが私の様子を伺う。

「はい。」

動揺しないで、きちんと答えたつもり。

香織さんも珍しく、あの日のその後を聞いて来なかった。

絶対次の日に聞かれると思っていたのに。

でもその事にちょっと安心した私がいる。

どう応えようか、自分なりに何度も考えたけれど、頭の中でまとまらなかったからだ。

< 107 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop