孤独な私が愛を見つけたら
自然と出た言葉に、吉田さんが微笑んだ。

「美味しかったですか?」

「はい。」

私も思わず笑顔になった。

「俺としては、次回はもっともっと佐奈さん自身の話が聞かせてほしいと思っているんですがね。」

店の外に出ると、そう吉田さんが私の耳元で囁いた。

私は咄嗟に身をひるがえしてしまった。

「えっ?」

吉田さんはその瞬間を逃さないと、私の腕を取った。

私はあっという間に、吉田さんの温かさを感じた。

吉田さんはそんな私の頭を自分の胸に抑えつけた。

「よ…。」

私の声は吉田さんのその熱量にどこかへ飛んでしまった。

「佐奈さんの事をもっと知りたい、近づきたい。そしてずっとあなたの人生に寄り添っていけたら…。」

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