孤独な私が愛を見つけたら
16
「佐奈さん。」

私をそう呼ぶのはただ一人。

「吉田さん。」

私は自分のアパートの近くで、その声に答える。

「今日は会社をお休みされたんですね。香織さんに聞いて、心配でここまで来てしまいました。」

少し息が荒いようだ。

「わざわざ気を遣って頂いてありがとうございます。でも…。」

私が下げた頭を上げた瞬間だった。

「佐奈さん。」

思いきり吉田さんに抱きしめられていた。

「よ…。」

吉田さんのその腕の力強さに、私は身動きも取れない。

こんな場面はつい最近にも…。
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