私の主治医はお兄ちゃん






ガチャ。

音を立てて湊斗兄はドアを閉めた。





湊斗兄…この状況で一番会いたくなかった人…





湊「なぁ、駿介。俺が今何が言いたいかわかるか?」


駿「いや、それは…」


湊「お前さ、昼間も病室抜け出して倒れたんじゃねーのかよ!」


駿「うん…」


湊「うん。じゃねーよ!じゃあなんで今こんな夜中に病室から出歩いたりなんかしてるんだよ。」


駿「ごめんなさい…」



湊斗兄に一番会いたくなかった理由。

それは…



湊斗兄は普段は優しくて怒ったりなんかしないけど


怒ったら誰よりも怖い…






湊「なんでって聞いてんだよ!!」

突然の怒鳴り声に俺の体はビクンとなった。


こんな夜中にそんな大きい声出すかよ普通。




駿「喉が渇い…ゲホッゲホッゲホッ…」

突然の咳に俺はその場から立ち去ろうとした。



でもそんなの湊斗兄が許すはずもなくて…



湊「なんだよ、その咳。」


駿「………ゲホッゲホゲホ…」



隠そうとしても隠しきれずに次々と出てくる咳。




湊「はぁ…取り合えずゆっくり呼吸して。」

湊兄はため息をついた後俺の背中をさすってくれた。






駿「ハァ…ハァ…ハァ…」

湊「落ち着いたか?」


駿「うん。ごめんなさい。」


湊「とりあえず今は病室に戻ろう。あと、兄貴にはこのこと報告させてもらうからな。」




ばれたらしょうがないよね。


一応優兄は主治医なんだし。





俺は湊斗兄に連れられて自分の病室へと戻った。





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