私の主治医はお兄ちゃん
駿「もういいよ。こんな傷大したことねぇし。縫わなくたって。」
素直に慣れない。
優兄は謝ってくれたのに。
俺がそう言うと優兄は
優「そうだよな。でも縫わないと酷くなるから他の先生呼んでくるな。」
そう言って部屋を出て行った。
心配してくれた優兄を避けてしまった。
兄妹みんな大事だと思ってる。
でももう遅いんだよ。
美音と他や自分を天秤にかけたとしたら…
真っ先に助けたいのは美音なんだよ。
それから代わりの先生が来たのは早かった。
俺が体育祭で怪我した時に診てくれた整形外科の先生だった。
医「やっぱ優也の弟はやんちゃだなぁ〜」
駿「俺、本当大丈夫なんで。」
医「まぁそう言うなって。優也落ち込んでたぞ〜」
駿「そんな事…」
そんな事言われなくたって分かってる。
分かってるけど…
名札に瀬川と書いたその先生は優しいような仕方なさそうな…
そんな顔で俺の事を見た。
瀬「まぁ好きな子のためなら無茶しちゃう気持ちも分かるけどね〜俺は。そこは優也には欠けてるとこだよな。」
駿「え……」
瀬「俺にはそう感じたけど…違った??」
駿「いや……」
瀬「なら、その好きな子に心配をかけないように早く傷口塞がないとな?」
瀬川先生はそう言うと笑顔になった。