交わることはない

鈴と大夢☆☆

大夢を追い返して、大夢のお家にも
行かないと言った。

大夢が私の事をなんとも思っていない
のは、わかっていた。
愛情の無い両親で育てることは
この子には、不憫に思えた。

< ピンポーン >
綺麗な女性だった。
「はい」
「すみません、私は大沢と申します。
大沢大夢の母親です。
甲斐さんとお話ししたくて
お伺いしました。
お話しさせて頂けませんか?」
えっ、大夢のお母さん?
びっくりしたが
「解除いたしますので、どうぞ。」
と、伝えて迎えいれた。

大夢のお母さんは、
大夢の行動を詫びてくれて
私の話もきちんときいてくれた。

その後で、
「大夢の父親と話しをしまして
また、連絡をします」
と、言って帰って言った。

翌日に、大夢のお母さんから
連絡があり
「私達だけの問題ではないので
両家と本人達を交えて話をしませんか?」
と、言われて
私は素直に従う事にした。

私は、自分の母親に連絡をして
「大切な話があるから
お父さんと一緒に来てほしい。」
と、言った。

お母さんは、お父さんが帰宅してから
直ぐに連絡をくれたから
日にちを大夢のお母さんに連絡して
その日、グランドホテルのレストランの
個室で6人は、話をすることになった。

大夢のお父さんは、凄いオーラの
ある方で父も母も恐縮していた。

だが、大夢の行動をお母さんと同じく
丁寧にお詫びをしてくれた。

父と母は、寝耳に水だったが
大夢のお父さんが丁寧に話してくれた
お陰で話しはスムーズに流れた。

私の気持ちを最優先に考えてくれて
その上、私の逃げ道もきちんと
考えてくれて、私にはありがたい内容
だった。
父も母も、そこまでしなくても
と、言ったが
大夢のお父さんは、譲らなかった。

私は、いま大夢のマンションで
暮らしている。

あんなに好きでたまらなかった大夢
だけど、今ではお腹の赤ちゃんにしか
関心がなく、大夢の事は只の同居人と
しか感じてなくて
のんびり快適に暮らせていた。


大夢・・

母親が鈴と話してから
数日後には両家の話し合いが
持たれた。
父親は、俺の変わりに鈴の両親に
詫びてくれて鈴の事を最優先に
考えてくれた。

俺は、毎日、鈴と二人で食事を食べ
一緒の空間で暮らしている。

鈴は、会社を退職した。
今の状況を説明できないし
今は、家の中で本を読んだり
仲の良い友達とあったり
ゆったりと過ごしている。

最初こそ、俺を除外していたが
今では、食事の用意をしてくれている。
「ありがとう。」
と、言うと
「私も食べるんだから
なんともないよ。」
と、言ってくれている。

お互いに同居人みたいな感覚だが
検診日には、必ずついて行くように
していた。
画像に映る赤ちゃんの姿が
不思議でたまらなかったが
段々と楽しみになっていた。
それを鈴に話と
嬉しそうに笑ってくれた。

手をつないだり、キスをしたり
もちろん身体の関係もないが
すごく穏やかに毎日が過ぎていた。

亮にも話しを聞いてもらった
亮は、そんな俺達を見守って
くれていた。
< 50 / 78 >

この作品をシェア

pagetop