はやしくんに、紫陽花の花束を。

ゆっくりと袋から箱を取り出す。


リボンで結ばれているのを解き、箱を開けるとその中にはネックレスが入っていた。


「いや、高いでしょこれ」


「まぁ良いでしょ、俺が初めて貰った給料をななせに使いたくて買ったんだし」


高いことを特に否定はしないはやしくん。いやだってダイヤモンドって書いてる保証書みたいの入ってるし、え、私高校生なのにこんなの貰って大丈夫?


戸惑っていると、はやしくんがネックレスを指差してこう言う。


「ネックレスをプレゼントする心理に束縛、ってのもあるらしいよ」


「はひ!?」


そう言ってゲラゲラ笑う彼。いや笑い事じゃなくて!はやしくん、そんな事考えて私にプレゼントしたのか…?


「俺も俺なりに考えて、最終的には分からなくて調べたりした時に書いてあった」


でも、ななせにはこれかなって思ったんだと言って微笑む。素直にありがとうと言わんばかりの笑顔で微笑むので心から感謝して、その場でネックレスをつけた。


一生大切にすると言うと、大げさだねと笑う。


この人の笑った顔、本当に好き。国宝レベル。


私はお返しをしなければと思って急いで誕生日を聞くと、もう過ぎていたことが判明。絶対来年渡すからと言ってから、色々な話をしてその日は帰宅した。


次の日の従兄弟へのプレゼントも大正解だったみたいで、大喜び。


だけど、その数日後には、はやしくんから連絡が来ることがなくなった。理由はハッキリとは分からない…慶次郎との喧嘩が引き金になっているのは確かなのだけれど。


私は、あの日から一度も忘れていない誕生日に、誕生日プレゼントを渡せないまま、大人になっていった。
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