ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
じゃあ、何か話してみようということになった。

「麻奈、気分はどう?」

一人が屈託のない笑顔で訊いた。

ママが文字の上をそろそろとなぞる。

あたしは三回、文字の上で瞬きした。

友達もママも鉄の玉を飲んだように絶句した。

〈帰れ〉

最悪の気分だったあたしはそう言った。

それからは誰も来なくなった。

あたしは手足も声もなくした上に、友人まで自分から棄てた。

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