その瞳に涙 ― 冷たい上司と年下の部下 ―
「若い子の気の迷いに動揺できる年はとっくに過ぎちゃってるから」
軽い口調でそう言って微笑むと、商品棚に残っているプリンを取って、広沢くんの手からティラミスを奪う。
「これ、奢るわね。私なんか追いかけてきたせいで、二次会は遅刻でしょ。そのお詫び」
呆気にとられた顔をしている広沢くんを残してレジに進むと、支払いを済ませてドアの方に向かう。
そんな私のあとを、すぐに広沢くんが追いかけてきた。
「碓氷さん……」
「はい、これ。広沢くんの分」
自分の分のプリンを取り出したあと、ティラミスが入った買い物袋ごと広沢くんに差し出す。
私の手にぶら下がる買い物袋をしばらくじっと見つめていた広沢くんが、躊躇いがちに持ち手をつかむ。
私が袋を離そうとすると、広沢くんが突然強い力でそれを引っ張った。