極上御曹司のヘタレな盲愛
お休みの日も大河は必ずうちに来て、そのまま私と家でゆっくりしたり、うちの家族と談笑したり…。

私を連れ出して公園や水族館に行き、なかなか体力が戻らない私に合わせて、一緒にゆっくりとお散歩をしてくれたり…。

とにかく毎週末は、片時も離れない…。
しかも2人でいる時は、常に私のどこかに触れているんだ…。

営業って…激務で…休日出勤が当たり前で…定時で帰る事が出来る日なんて、年に数える程しか無いって聞いた事があるけど…。

私は一度心配になって、仕事の方は大丈夫なのかと聞いてみたが、大河はアッサリ言った。

「水島に戻るために、俺もう今、仕事を減らしてるから…。部下が優秀で助かるよ。
水島に戻ってすぐは、きっと鬼のように忙しくなるからさ…。今のうちに桃との時間をたっぷりとって、桃の体に俺を覚えさせておかなきゃいけないんだよ…」

それでずっと一緒にいて、私の体にふれているんだそうだ。

なんか…体に覚えさせるって言い方は…ちょっと恥ずかしいからやめてほしい…。


だけど…。

大河の策略にまんまと乗せられたというか…。
刷り込まれたというか…。

まだ付き合い始めて間もないのに…。
今では…大河がずっと傍に居る事になんの違和感もなくなり…。
大河からの過剰なスキンシップにもだいぶん慣れて…。

むしろ心地いいというか…。
大河が傍に居ないと…寂しいというか…なんというか…。

2人でお散歩をしている時に、ふとした拍子に自分から腕を絡めたり、無意識に自分から手を繋いでしまったりして、ハッと気づく事があり、その度に恥ずかしくなって赤面してしまう。
そんな時…大河はこの上なく嬉しそうな顔をして笑っている。

気がつくと…大河の深いキスに、身体を熱くして応えている自分がいて…。

キスが終わって離れていく大河に…もっと…って思って瞳が潤んでしまい…そんな自分に驚く…。
そんな私の顔を見て…大河は切なげな顔をして…私をギュッと抱きしめる。


あんなに…天敵だと思っていたのに…。

こんなに短期間なのに…私は大河の事が好きになってしまったんだろうか…。

このうまく言葉に出来ないようなドキドキする気持ちが…本当に好きって事なんだろうか…。

大河に押しに押されて自分の気持ちがわからなくなってしまっているのではないか…。

生まれて初めて自分に次々と沸き起こる未知の気持ちに戸惑う…。

でも…。
大河と2人で過ごす時間は…いつしか私の中で、とても大切なものになっていた…。


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