極上御曹司のヘタレな盲愛
「だってぇ…」
涙目でベソをかいた私を見て…。

大河はドサっと横に倒れ込み、大きく深呼吸して息をふぅーっと吐くと、私をギュッと抱きしめ涙を拭い、髪を優しく撫でた。

「どうした…。怖くなった?」
と額を合わせて優しく訊かれる。

怖い…?私は首を小さく横に振り大河を見つめた。

「ううん。怖くはなかったの。大河、とっても優しくしてくれたし…」

「だよなぁ。お前の身体もいい感じにトロトロになっ…痛っ!」

大河が額を押さえて呻く。

「なんで…頭突き…?」

デリカシーの無い事を言うからでしょ?と涙目で睨んだが…。
太腿のところに…未だ治らない大河の昂りを感じ、恥ずかしくなると同時に申し訳なく思った。

「あの…ごめんね、大河…」

いや…と大河が額にチュッとキスを落とし、目を覗き込んでくる。

「最後の最後で…『これでいいの?流されていいの?』って思っちゃって…。
大河が私の事を可愛いとか、好きとか言ってくれて…。私、とても嬉しくって…。
もうどうせ捕まっちゃったみたいだし、流されてもいいのかな…って思う自分もいたんだけど…。まだね、大河が私を想ってくれるのと、私の気持ちには凄く温度差があるの…。
どうせ捕まっちゃったなら…。
やっぱり…私も大河の事をめちゃめちゃ大好きって思いながら…その…一つになって結ばれたい…」

最後の方は聞こえるか聞こえないかの声でゴニョゴニョ言うと…。

私の顔を覗き込んでいた大河の瞳が一瞬大きく見開かれ、頬が赤く染まった。

それを隠すように、私の顔をギュッと自分の裸の胸に押しつける。

「やばい…マジやばい…!可愛すぎる…っ!」
とまた深呼吸をしている。

「わかった…。桃が俺の事を大好きって言って、自分から俺に抱かれたいと思うようになるように…俺、精一杯頑張るわ!」

あ〜もう、流されときゃいいのにな、って笑いながら言う。

「でもさ…。先週まで触れるどころか顔さえろくに見られなかった桃に、今こうして触れられるんだ…」

大河の手が胸に伸びてきてやわやわと触れられる。

「や…んっ!」

「こうやって桃のエロい声も聞けるし…」

脇腹から腰にかけて大河の指がツーっと滑り、私の体がビクンと跳ねる。

「もうこれ以上、桃の事を好きになれないと思うくらい大好きだったけど…。こうして触れると、まだまだ好きだって気持ちがどんどん溢れてくる…。
俺、全力で頑張るから…早く…俺を好きになれ…。
好きになって…早く…一つになろうな…」

「‼︎」

妖艶な笑みを浮かべた大河に耳元で囁かれ、真っ赤になって俯く私を一度ギュッと抱きしめると大河は立ち上がり
「シャワーを浴びてくる」
と部屋を出て浴室の方に歩いて行った。

背中までしっかりとついた筋肉に、暫し見とれてしまう…。

大河が何か言うたびに、胸がキュンキュンして苦しい…。

私は頭をふるふると振ると、ベッド脇に落ちていた下着や服を身につけ、その後、大河と交代でシャワーを浴びた。


< 81 / 179 >

この作品をシェア

pagetop