LONELY MOON ―ロンリームーン―

again.

 


――ドクン。


改めてこういう状況に置かされると、また俺の心臓が大きく跳ねる。

…畜生、黙れ、心臓。


そんな俺の心情なんてお構いなしに、あろうことかまらこいつは眠りに堕ちようとしている。

…隣に男がいるっつーのに、なんて無防備なんだ、こいつ?

少し経つと、また寝息を立て始めた。早ェな。

無意識にそいつのことをじっと見つめていると、視線を感じたのか、うっすらと目を開き、眠たそうな声で言った。



「…んー…高田くんは寝ないのー?」



――寝れるわけねぇだろ…。

そんな本音は飲み込んで、俺も目を瞑ってなんとか寝ようとする。

が、眠れない。

しかし隣にはまたうつらうつらと眠ってしまいそうなこいつ。

…どっちが阿呆だか、分かったもんじゃねぇな。




――チッ、チッ、チッ……


響く進む針の音。

1つ深呼吸してみると、結構な眠気が襲ってきた。





俺は今にも閉じてしまいそうな瞼をうっすらと開いて、無意識に、こう呟いた。





「…なァ」


「…んー?」




「…なんで…


なんでお前は…俺のことを怖がらねェんだ」




 
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