ことほぎのきみへ
「その時がきたら、驚くくらい
あっさり口にできちゃうものだから
…まあ、言った後に
恥ずかしくなったり、逃げたくなったり
怖くなったり
色々感情が大変なことにはなるけど」


実際の体験談か

ゆまちゃんは少し顔を赤くさせて
頬を掻きながら
言いづらそうに言葉を付け足した


「そっかぁ…」

「とりあえずさ
悟君ともっと話せるようにならなきゃ」

「…ん」

「というわけで
早速悟君呼んでくるよ!」


……


「…。……え、ちょっ!?
う、嘘でしょー?!ま、待ちなさい!」


言うなり立ちあがり
軽やかな足取りで
嬉々として部屋を出ていく亜季

いきなりだったので、ゆうりの反応が遅れる

慌てて立ちあがり、もつれながらも後を追う



がたん!


どたん!


ばたばたばた…っ



追いかけっこが始まった



「呼ばなくていいからー!」

「女は度胸だよ~!ゆーちゃん!」



そんな騒がしい声が徐々に遠ざかっていく



……



「賑やかだねぇ」

「そうだねぇ」


取り残された私とゆまちゃんは
顔を見合わせ、笑い
机の上のお菓子に手を伸ばした
< 38 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop