ことほぎのきみへ
とにかく

ゆうりのその性格に見た目とのギャップを感じて離れていく人は多い

言い寄っておいてすぐ幻滅するなんて勝手だと
実際隣で見ていて思うし、いらいらする


表面ばかり見て相手を深く知ろうともしないその姿に



「…悟先輩に、好きになってもらうにはどうしたらいいんだろう」

「好きなら好きって言っちゃえば?」

「亜季ちゃん。皆が皆
亜季ちゃんみたいに行動的でストレートなわけじゃないよ」


ため息をついて途方にくれたように溢すゆうりに
亜季はきょとんとした顔

そんな亜季にゆまちゃんは苦笑いを浮かべて言う



「…私もね、一樹を好きになって
好きって伝えるまで時間かかったよ」


「一樹に気持ちがあるのかないのか
最初は全然分からなくて
告白するの怖かった」


懐かしむように
大事な思い出を振り返るように

ゆまちゃんは話す



「もし、フラれて
今の関係さえなくなってしまったらって思ったら動けなくなっちゃって」


「…でもね、ある時
それでも気持ちを伝えたいって思ったの」


好きだって
大好きだって


ゆまちゃんはとても大切ものを抱き締めるように
握った拳を自分の胸元にあてる


「だから焦らなくていいよ
好きだって伝えることに関しては」
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