ことほぎのきみへ
「わ~わ~!」

「落ち着け、亜季」

「しっかし、人すげーな」

「夏休みだし、観光地ですからね」



日が暮れてから、お祭りにやってきた私達


表参道は参拝口まで
数多くの屋台がずらーりと並んでいて

屋台の呼び込みの声や、祭り囃子や太鼓の音

大勢の行き交う人の
楽しげな声で活気に満ち溢れていた



「見て見て!金魚すくい!
あ、型ぬきだ!」


予想通り、一番にはしゃいでいるのは亜季


お祭りに来るまで、ずっとそわそわしていた

今も落ち着きなく
あたりをきょろきょろ見回している


「なあなあ、俺あっち見てきていいか?
射的やりてー」


次にそれが目立ったのが、意外にも悟先輩

元々お祭り事が好きなのか
浮き足だった様子で屋台を眺めている


「ん~じゃあ
何人かに別れて見て回るか?
それぞれ興味あるの違うっぽいし」


ゆまちゃんと一樹、つゆき先輩は
屋台の食べ物に目がいっていて


亜季と、悟先輩は
体験型の屋台に興味が向いてるみたい


そんな皆の視線を把握して
まなぶ先輩がそう提案した


「俺は亜季達についてくとして…
柳と波崎はどうする?」

「え~と…」


まなぶ先輩に問われて、ゆうりと顔を見合わせる


「…」


ゆうりは何か言いたそうにしてる


一瞬、悟先輩にくっついていきたいのかなって
思ったけど
どうやらそういうわけじゃないみたい


ゆうりの視線は
参道の奥にある神社に向けられてる


……参拝したいのかな?
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