ことほぎのきみへ
「なら、見てみて
花火も蛍もすごく綺麗だから」

「…………はい」


目の前にやってきた、あの人に小さく頷く


……不思議


この人の声を聞いてると、頭が冷静になっていく


一呼吸いれて、頭を下げる


「……すみません
姿を見かけて、つい追いかけて
声をかけてしまったんですけど
特に用があったわけじゃないんです」


「俺は何も気にしてないから
謝る必要ないよ」


「……ストーカーっぽいかなって……」


「ストーカーなの?」


首を傾げるあの人に
私は勢いよく首を横に振る


「ち、違います!
私は……あなたの名前も何も…知りません」


「でも、会ったことはあったよね」


「昨日のあれは……本当に助かりました
ありがとうございます」


「違うよ。もっと昔」


「……え?」



「俺、君に聞きたいことがあったんだ
だから、君が俺に声をかけてくれて良かった」


そう前置きして
あの人はきょとんとする私に言った





「生きるのは楽になった?」
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