ことほぎのきみへ
胸に宿った感情
二泊三日の旅行

最終日



「……ゆーちゃん、ほんとに何があったの?」

「だから、私に聞かれても分からないんだって」

「昨日の夜から
いろはちゃん、ずっとぼんやりしてるね」

「何があったのか聞いても
なんでもないって言うし……」


椅子に座って
窓の外の景色をぼんやり眺めながら
考え事に熱中していた私は

後ろの3人のそんな話し声や
心配そうな顔で
自分に視線を向けている事にも気づかなかった


「いろはちゃん」

「……ん?」


ゆまちゃんが向かいの椅子に腰掛けながら
私に声をかけてきた

まだ少しぼんやりしてる頭を動かし
ゆまちゃんに顔を向ける


「嫌なことがあったわけじゃないんだよね?」

「…嫌なこと?」

「また、変な人に絡まれて怖い思いしたとか
それを心配させないように
黙ってるとかじゃないんだよね?」





ゆまちゃんの言葉に

今の私の状態が
皆にものすごく心配をかけている事を
ようやく自覚した私は

目を見開いて、慌てて否定した
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