私のかみさま
(―――また……のか……)



……?



セミの声に混じって、微かに聞こえる誰かの声



(――――飽きない…………?
後ろ………いる…………は……)



そっと、まぶたを上げて
視線を上下左右に向けるけど、誰もいない

声も聞こえなくなった


気のせいかと、また目を閉じる



(―――……なんだ、今日はひとりなのか?
………………そうか……)



目を閉じると、また声が聞こえる
だんだんと大きく、はっきりと


どうやら、気のせいじゃないみたい



(…………それは、寂しいな)



……。



…………これは……


私に向けられた言葉だ



この声は、私の記憶の中のもの



…………私……なにか……



何か大事なことを忘れてる


前にも感じた


時折、断片的な事は思い出すのに
肝心な部分は、頭や心の奥に眠ったままで
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