私のかみさま
「知ってたか?
今、俺をここに
繋ぎ留めているのはお前なんだぞ」


「……私?」


地面に向けていた顔を、榊に向ければ
とても嬉しそうに笑う榊と目が合う


「荒れ果てた社を見ただろ?
唯一の信者だった一正が亡くなって
もう、ここを訪れるやつなんていなかった」


……そうだ


思い返せば
あの時から自分達以外の人を
ここで見かけたことはなかった

社に手を合わせる人なんて
おじいちゃん以外誰も


おじいちゃんがいたから、ここは綺麗だった


水を変え、花を供え

まわりの草地を整えて

手を合わせる


おじいちゃんはこの場所を、榊を


とても慈しんでいた
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