私のかみさま
「……なら、約束しよう?榊」



榊の傍に近付いて、その手を握る



「私が死ぬ時は、もう一度会いに来て」



約束しよう

今度は後悔しないように



「最後にもう一度
姿を見せてください
声を聞かせてください」



例え、過去には戻れなくても

やり直せなくても



「私も、約束する
今度は絶体、榊を忘れない
ずっとずっと、覚えてる」



その後悔や想いを積み重ねないように

少しでも癒せるように



「最後の時にたくさん話をしよう?」



昔の話を

おじいちゃんと私と榊

3人で過ごしたあの頃の話を



楽しかったねって

幸せだったねって


出会えて良かったって



そう言って笑いかければ



「……ああ、約束する。お前に会いに行く」



驚いたような表情が段々と和らいで


いつもの笑顔が戻ってくる




「…」



だけど、そんな笑顔も薄れてく



……もう、お別れだ



「…………最後にひとつだけ
お願い……聞いてくれる?」


「なんだ?」


「……抱き締めて…」



堪えきれずに涙は溢れて
それでも笑って手を広げれば



「ああ」



優しい笑顔を浮かべる榊の腕の中に
すっぽり収まる





「……榊、大好き」


「ああ。俺も」









「愛してる」



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