私のかみさま
「…」


かちこちかちこち…


部屋の中に響くのは、規則正しい時計の音だけ


気付いた時には、もう夜になっていた



「…」



布団から這い出て
ふらふらおぼつかない足取りで部屋を出る


家の中は真っ暗で静か


聞こえるのは自分の足音と時計の音だけ




玄関で靴を履いて外に出る


外に出るのは随分久しぶりだった



季節は夏


夜でも寒さは感じない



暗闇の中、淡く光る街灯を頼りに歩く



やがて



小さな頃
よく遊びに来ていた山の麓にたどり着いた


あてどなく歩いていた私は
懐かしさを感じながら、そこに足を踏み入れた


ここから先、街灯はない
けど、月明かりで十分歩ける



無心で歩き続けること、およそ数十分



山頂に着く



少し開けた空間に古びた社


視界に広がるのは連なる山々、小さな街並み



社のある方角は崖になってる


じっと崖下を覗き込むも、暗くて底が見えない
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