溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~

だから私は土日のみの出勤OKで時給がいい、東京プリマホテルの結婚披露宴会場でドリンクや料理の配膳を行うバンケットスタッフとして働くことを決めた。

恵比寿のマンションを出れば家賃の負担が減り、毎月のお給料だけで生活していける。しかし引っ越し資金すら工面できないというのが現状なのだ。

ダブルワークは体力的にきついけれど、弱音を吐いている場合じゃない。

セキュリティカードをかざして従業員専用の通用口から中に入ると、更衣室に向かう。そして制服である、白いワイシャツと黒のベストとタイトスカートに着替えた。

五月第四週の土曜日の今日、結婚披露宴のタイムスケジュールはかなりタイトだ。

普段は下ろしている髪をひとつに束ね、気合いを入れると更衣室を出た。



招待客三百名が収容できるグランドホールに、新郎新婦が入場する。紋付袴姿の新郎は凛々しく、白無垢姿の新婦はとても美しい。

永遠の愛を契り合ったばかりのふたりに羨望のまなざしを向けていると、披露宴が始まった。主賓の挨拶が終わったら、すぐに乾杯となる。

担当テーブルに向かい、来賓客のグラスにシャンパンを注ぐ。そしてひと息つく間もなく、フランス料理のフルコースをせっせと運んだ。

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