溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
出社して始業の準備を進めていると広海さんが執務室に姿を現す。
「おはようございます」
「ん……おはよ」
大きなあくびをしながらフラフラとデスクに向かう彼のその様子は、寝ぼけているようでおもしろい。
もしかしたら朝が弱いのかもしれないと思っていると、イスに腰を下ろした彼が意味ありげな笑みを浮かべた。
「昨日の夜、兄貴に襲われなかった?」
「朝から、変なこと言わないでください。セクハラで訴えますよ」
「怖っ……」
私を冷やかしておもしろがる趣味が悪い広海さんにピシャリと言い返したものの、その表情はニヤけたまま。相変わらずマイペースな広海さんに苦笑するしかなかった。
「広海さん。今日も一日よろしくお願いします」
「こちらこそ」
気分を切り替えて挨拶すると、彼の背筋が伸びる。
「今日の専務のスケジュールは把握してる?」
「はい」
先週の金曜日の午後、スケジュール管理について説明を受けた。専務の一日の予定に関しては共有しているものの、漏れがないように朝一番で確認することになっている。
「それなら専務に挨拶に行こうか」
「はい」
専務室に続くドアをノックすると、中から「はい」という声が返ってくる。
「失礼します。専務、おはようございます」
「おはようございます」
広海さんに続いて頭を下げた。