溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
7.デートは波乱に満ちて

同居を始めてから一ケ月が経とうとしている、六月下旬の金曜日。

「専務? お仕事ですか?」

「ああ。急いで目を通しておきたい案件があるんだ」

「そうですか。あ、コーヒー入れますね」

夕食を終えてリビングでノートパソコンに向き合っている彼に声をかけると、キッチンに向かった。けれど、すぐに呼び止められる。

「雨宮さん」

「はい」

「明日、なにか用事ある?」

「いえ。とくになにも……」

足を止めて向き直り、首を左右に小さく振った。

明日の土曜日は掃除と洗濯をして、スーパーに買い物に行こうと思っていただけだ。

オシャレなカフェにも、ショッピングにも行かない生活は少し寂しい。でも今は家事をこなすことが最優先だし、フラフラしている暇もお金もない。

「そうか。だったら俺とデートしないか?」

「えっ? デート?」

「そう。デート」

謎めいた笑みを浮かべて突拍子もないことを言い出した彼を驚いて見つめる。

「きゅ、急にどうしたんですか?」

「いつもがんばってくれているから、たまには息抜きするのもいいかと思ったんだが……。あまり気が進まないかな?」

専務の明日のスケジュールはオフだ。

彼の厚意はうれしい。けれど、あることが引っかかってしまう。

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