溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~

横を向いてしまった彼の耳が、ほんのりと赤く染まっているのは照れているから?

「ブリの照り焼きですね。わかりました」

「ありがとう」

「いいえ」

専務は和食が好きなんだ……。

リクエストをすぐに受け入れると、彼がはにかむ。

照れを見せる年上の男の人をかわいいと思ったのは、人生で初めてだった。



翌日。リクエストに応えて、夕食にブリの照り焼きを作った。

「和食もうまいな。やっぱアンタって料理上手だな」

当然のようにマンションに寄り、ブリの照り焼きをひと口味わった広海さんが昨日と同じセリフを言う。

なにを作っても褒めてくれるのはうれしいけれど、気になるのは専務の反応だ。

「専務? どうですか?」

息を詰めて尋ねてみると、ブリの照り焼きを上品に口に運んだ彼が目を細めた。

「丁度いい味つけでとてもおいしいよ。ありがとう」

「そうですか。よかったです」

笑顔を見せて料理を褒めてくれたことが、うれしい。

昨日は仲違いしたふたりも、今日は夕食を取りながら談笑している。ふたりのその姿を見ているだけで、仕事で疲れた体と心が癒えていくのを実感した。

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