溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
「おかえりなさい」
「ただいま」
広海さんを家に送り終えた専務を出迎える。
「広海さんの具合はどうでしたか?」
「熱を測ったら三十八度あった。ひと晩経っても熱が下がらなかったら病院に行くと言っていたし、親もいるから大丈夫だろう」
「そうですか」
「迷惑かけてすまなかったね」
具合が悪い広海さんの体を支えるのは思ったよりも大変だったけれど、困ったときはお互い様だし、それに私はなにもしていないに等しい。
「迷惑だとは思ってないですよ」
「そうか」
「はい」
家に上がった彼と微笑み合った。
広海さんと軽井沢に出かけてから、許嫁の件を専務に何度も尋ねようとした。けれど、彼と私は上司と部下であり、ただの同居人。プライベートなことを詮索するのはよくないのではないかという思いが邪魔をして、結局なにも聞けずにいる。
「食事まだですよね? 急いで用意しますね」
「ありがとう」
専務が広海さんを家に送り届けている間に作った料理を温め直すために、パタパタと足音を響かせてキッチンに向かった。