溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
旭川会長の姿を初めて見た私に、ひと声かけてくれた彼の配慮がうれしい。パーティーに同行するのを躊躇っていた私をさりげなくフォローしてくれる彼は、やはり頼りがいがあると思った。
私の緊張をほぐすように微笑んだ彼が、旭川会長のもとに向かう。
「旭川会長、ご無沙汰しております」
「やあ、藤岡くんじゃないか。久しぶりだね」
ふたりが笑顔で握手を交わすのを、一歩下がって見守る。
「奥様も、お元気そうでなによりです」
「ごきげんよう、藤岡さん」
旭川会長の斜め後ろにいた涼しげな藤色の着物姿の夫人が、専務に向かって上品に笑いかけた。
「今日は広海くんの姿がないようだね?」
「実は体調を崩しまして、今日は大事を取って休ませました」
広海さんがこの場にいない理由を説明すると、旭川会長が大きくうなずいた。
「そうか。それはお大事に。ところで藤岡くん? そろそろ、そちらにいるかわいらしいお嬢さんを私と妻に紹介してくれないかな?」
旭川会長と夫人の視線が私に注がれる。
私は『かわいらしい』とか『お嬢さん』とか言われるほど若くない。けれど大手企業の会長にとって、三十歳の私など小娘同然なのだろうと納得した。
「これは失礼しました。彼女は秘書の雨宮です。普段は広海のサポートについているのですが、今日は無理を言って同行してもらいました」