卒業写真    ~思い出の一枚~

卒業アルバム

物思いに耽る私に

「ちょっと待ってて」と言って席を立つ先生。

「お待たせ。」

帰ってきた先生の手には

今から四年前の、卒業アルバムが握られていた。

「懐かしいだろう。
毎年、アルバムは買ってるんだけど……。
この年のアルバムだけは、直ぐに出せるように置いてあるんだ。
いつか二人で、ページを捲れる日が来ることを想像してね。
制服姿が初々しかったあの頃から
こんなに時間をかけてしまったけど……。」

そう言うと

テーブルに置いて、アルバムを捲り始めた。

そこには

修学旅行や体育祭、文化祭にクラブ紹介と

懐かしい時間が写っていた。

「ホントに懐かしい。
私は…………
おサイフの中の写真以外は、見てなかったから。
四年ぶりかも。
ちょっと、恥ずかしいね。」

そう言って笑うと

「だったら、もう少し恥ずかしくなる
個人写真を見てみよう!
桜のクラスは……………」

開いたページには

写真用に2つに結んだ、少し幼い私が写っていた。

「うわぁ!恥ずかしい。
いつもは結ばないんだけど………
担任の岡崎先生に『真面目に見えるように』って言われて
クラスの子、みんな結ばれたんだよね。」

「そのわりには、メイクしてるくせに!」

「それはぁ~
玲奈ちゃんと夏苗ちゃんに、強制的に…………」

言い訳をする私を笑いながら

「だろうね!」って。

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