卒業写真    ~思い出の一枚~

思い出の一枚

卒業式のアルバムのページから

一枚の写真が出てきた。

「…………これって…………。」

そこに写っていたのは…………

図書室の一番奥の特等席。

そこで、花束を抱えて涙を溢す私。

「……………………先生………。
卒業式の日……………
あそこにいたの??」

驚く私に

「嫌。
あの時あそこに俺がいて………
こんな表情を見せられていたら。
即、告白してた。
撮ったのは…………玲奈ちゃん達。
慌てて図書室に向かった桜を追って行ったみたいだけど。
この切ない表情を見つけたら
声をかけれなかったって。
あれから何度も、この写真を見せられて
『意気地無し!!』
『早く告白しろ!』って、責められたよ。
……………………でも、だから中々…………
告白出来なかった…………。
この写真の桜は………
ホントに、真剣に俺を思ってくれてたのに………。
卒業して、新しい生活が始まると
待ち合わせの場所に現れなかったから。」

「だからそれは…………」

「うん。
今なら分かる。
単なるすれ違いだったって。
でも、あの時の俺は………。
こんな表情をした彼女が…………現れないのは。
自分なりに『区切り』をつけたからだと思ったんだ。
高校卒業を期に、この恋を終わらせる!って…………。
………………………………………。
だったら、俺も忘れなければ!
生徒にいつまでも、思いを寄せるべきじゃないって。
…………だけど、いざとなると………
意外にこのザマ。
桜がまだ彼氏を作らないと聞いて、喜んだり。
数あわせの合コンに行ったと聞いて、落ち込んだり。
全然諦められなかった。」
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