雨上がりの夜空は
同級生の中でも私達が塾終わりに一緒に歩いて帰っていたことは、一度も知れ渡ることはなかった。

だからこの中学校1年生の冬にあった塾での出来事は、おそらく私と悠馬くんしか知らない。

もしもこの先大人に近づく中で悠馬くんに会えたら、今度は悠馬くんのことをもっと知って…“あまり話したことがなかった同級生”からちゃんとした“仲の良い友達”になりたい。
どこかへ遊びに行ったりもしてみたい。

その時は悠馬くんからじゃなく、今度は私から悠馬くんを誘えるように引っ込み思案な自分の性格を直して行きたいと思う。
接点のこともだけど、私がもっと誰とでも明るく話せる積極的な女の子だったら、悠馬くんとはきっと…もっと仲良くなれていたと思うから。

いつかこの先私が変われたなら、キミはどんな反応をするんだろう…。
これからだんだん大人になっていくキミにまた会えることを信じて楽しみに待っていよう。

今はもうあの夜道を2人並んで歩くことはなくなってしまったし、とても些細な短い期間での出来事だったけど……
それはいつまでも色褪せることのない2人だけしか知らないの秘密の帰り道──────



【第二夜 悠馬 完】
番外編 悠馬 Another storyへ続く………
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