【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
《国道357号線で……多分大井埠頭に向かってる》
「大井埠頭だな? 俺もすぐ向う」
手短に告げて電話を切り、ちょうど来たタクシーに乗り込んだ。
「大井埠頭までお願いします」
運転手に行き先を伝えると、シートベルトをつけてじっと前を見据える。
綾香がさらわれて気が気じゃなかった。
大谷さんか藤原と一緒に帰るよう言ったのだが、俺の言うことを聞かずにひとりで帰ったに違いない。
秋人のことがあるから気をつけろと強く言っておけばよかった。
だが、今さら後悔してもこの状況は変わらない。
頼む、無事でいてくれ。
強く唇を噛み、手を組む。
普段、神なんて信じないが、この時ばかりは頼らずにいられなかった。
神さま、どうか綾香を守ってください。
タクシーが走り出して二十分程経った頃、藤原から《大井埠頭のY社倉庫に入って行った》と電話があった。
警察を呼ぶように言ってすぐに電話を切れば、タクシーは品川駅周辺を抜け大井埠頭付近まで来ていた。
早く、早く着け。
いつでも外せるようシートベルトに手をかけ、心の中で祈るように念じる。
< 106 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop