【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
一分一秒がとても長く感じた。
こうしている間にも秋人が綾香に危害を加えたら?
そう考えると気がおかしくなりそうだ。
ようやく海が見えてくると、藤原が話していた倉庫が視界に映った。
「すみません。ここで」
そう運転手に声をかけながらシートベルトを外して、支払いを済ませタクシーを降りた。
藤原達の姿を探せば、Y社倉庫のシャッターが開いていて、中から光が漏れている。
静かに近づけば、「おい、待て!」と秋人が叫ぶ声がして、綾香が倉庫から飛び出して来た。
彼女との距離は三十メートル程。
すぐに秋人が綾香を捕まえようと追ってきて、彼を取り押さえようと駆け出すも、彼女が突然海に飛び込んだ。
「綾香!」
走りながらスーツのジャケットを脱いで俺もすぐに海に飛び込む。
秋人のことは考えなかった。
綾香を助ける。ただそれだけ。
先に飛び込んだ彼女は海の中へ消えた。
綾香は泳げない。それに腕をなにかで縛られていたようだったから、身体が浮く状態ではないのだろう。
マズイ。
一刻も早く見つけないと綾香が死ぬ。
海は暗く、微かに外灯の光が差し込む程度。
綾香が飛び込んだ場所の周辺を潜り、彼女を探す。
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