【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
すると、急に顔を上げて俺を見た。
「ど、どうして蒼士が……父が生きていることを知っているのです?」
まあ当然疑問に思うよね。
「卒業式の日に綾香の家の前で秋人に会っただろ? 妙な胸騒ぎがして、俺の部下を綾香の家に送り込んだんだ。それで、家事が起こった日、俺の部下が君のお父さんを助けて、極秘で入院させた」
手品の種明かしのような口調で言えば、綾香はさらに突っ込んで聞いてきた。
「あの時からあなたが動いていたんですね。でも、どうして父は死んだことに?」
「綾香のお父さんが生きていると秋人が知れば、また命を狙われると思ったんだ。だから、警察やマスコミに頼んで、表向きは死んだように世間に思わせた」
理由を教えると、彼女は驚きながら相槌を打った。
「父のためにそこまで考えてくれたのですね」
「お父さんが生きていることを綾香に伝えたかったけど、俺がチベットから戻った時は生死をさまよっていたし、秋人のこともあったからね」
「……父が生きていてくれただけでいいですわ。父を助けてくれて……父を守ってくれてありがとう」
涙ぐみながら礼を言う綾香の頭を優しく撫でる。
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