【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
まあ、綾香は誰もが認める深層のご令嬢のはずなのだが、彼女は自分の力を過信して無茶をする。
お嬢様らしく大人しくしていればいいものを……そう思ったりもしたが、それが花山院綾香なのだ。
最初はただの好奇心で彼女を見ていたのだが、それが恋に変わったのはいつだろう。
高熱をおしてバスケのインターハイの試合に出た時かもしれない。
高校の時はバスケ部に入っていたのだが、綾香も顧問の先生に頼まれて男子バスケ部のマネージャーをしていて……。
バスケの試合中、熱で頭がボーッとしていた俺にベンチにいた彼女は叫んだ。
残り時間二十秒。同点で、一本決めれば、決勝に進出出来る大事な局面。
『氷堂、いけー!』
お嬢様らしからぬその叫び声。
思わず笑ってしまったのを覚えている。
だが、その声援でなんだか力が湧いてきて……。
最後に俺がダンクシュートを決めて勝利し、チームメイトと喜んでいたら、綾香がやって来て俺の腕を掴み、そのまま医務室に連行された。
『もう今日は試合がないので寝ててください。今あなたに倒れられたらバスケ部のみんなが困りますの』
口調は厳しいが、その顔は笑っていた。
その笑顔が眩しくて……。
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