【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
だから、家で腹を空かせて待っていると思ったのだ。
「お腹空いてるみたいだね」
沈黙を破ってクスッと笑えば、綾香は顔を真っ赤にしてボコボコ俺の胸を叩く。
「も、もう! 気づいても知らない振りをするのが紳士ですわ!」
普段は澄まし顔の彼女がこんなに取り乱すのは珍しい。
可愛くてずっと眺めていたくなる。
「ごめん。なにか作ろう……っていっても、まだ俺も引っ越してきたばかりで冷蔵庫にあまり食材が入ってないんだ。パスタとかでいいかな?」
リビングの横にあるキッチンに移動すると、綾香もついて来た。
「え?氷堂さまが料理をされますの?」
驚いた顔をする彼女の目を見てゆっくりと微笑む。
「イギリスにいた時、寮の食事が不味くてね。よく自炊してたんだ。自分でスーパーに買い物に行って楽しかったよ」
「氷堂さまがスーパーですか? 想像出来ませんけど」
意外そうに言う彼女。
お嬢様育ちの彼女は多分スーパーに行ったことがないに違いない。
俺も日本で育っていたら、行く機会はなかっただろう。
「まあ、向こうでは寄宿学校にいて、うちの者に監視されていなかったからね」
日本にいるとひとりで気軽に出歩けない。
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