君へのLOVE&HATE
姉はわたしの憧れであり、そして、大嫌いな存在だった。

幼い頃から
姉はかわいい女の子で愛嬌もよく、まわりから愛されてた。

年齢を重ねて綺麗になり、
気立てもよくて
人当たりもよくて周りに自然と人が集まっていた。

学校では成績も良くて、優秀な模範生徒。

誰もが姉を讃え、褒めた。

いくらわたしが成績がよくても
ダイエットして痩せても
愛想よくしても


何をしても姉には勝てなかった。

顔だけ似てるね、と言われる。
佐々木沙希の妹としか見られない。




そんなわたしに和樹くんは、
「わたし」という存在を認めてくれて
わたしはわたしのままでいいと言ってくれた。

姉はわたしの欲しいものを
いとも簡単に、手に入れる。

何もかも。


和樹くんの愛も。

いけないことをしているとわかっていても
和樹くんとの関係を断ち切れなかったのは
優越感があったからかもしれない。

非のうちどころのない姉から、和樹くんと関係を持っているという優越感。

そして・・・

和樹君が本気でなかったとしても
私といるときだけでも和樹くんが

私を大切にしてくれることが自分の存在意味になっていた。

だから和樹くんが私のすべて・・だった。


和樹くんとは、結婚宣言をした日から
なんとなく関係を持つことをやめた。

姉にバレていただろうということ、
そして
和樹くんも姉と結婚することになったせいか
お互いになんとなく距離を取るようになっていった。

この時はもう家庭教師として和樹くんは来ることもなくなっていたし
二人きりで会うことはもうなかったことも大きいかもしれない。

姉から結婚の話を聞いても
わたしは簡単には気持ちを割り切れなくて
でもやっぱり先の見える関係は辛くて
和樹くんを思う隙間をなくそうとして
無理やり高校生活を楽しもうと友達と遊んでいた。

友達と笑っていてもこころから楽しめなくて
無理やり笑顔を作ってはただただ毎日、やり過ごしていた。

そんな時だった、
穂積と仲良くなったのは。

< 10 / 44 >

この作品をシェア

pagetop