君へのLOVE&HATE
#10
年に一度
三月に私の住んでいる町では桜祭りがある。

町の真ん中
小高い丘の上
桜森神社に祀られている大きな桜の木。

桜祭りの時、
その桜の木が
黄金に、光り輝く時、願いが叶うとされている。


その木の前で私は彼を待っていた。

「景都、ごめん。」

白い息を吐きながら走ってくる。
「大丈夫?」
慌てて駆け寄る。

「昨日ごめんな。ほんとーにごめん!」
いきなり頭を地面に着くんじゃないかってくらい下げて謝る。

「大丈夫だよ!というか、どうしたの?何かあったの?」

穂積はまだ、体調がよくないのか、
すこし、青白い。

「景都、すこし、早いけど話をしなくてはならないことがあるんだ」

真剣な眼差しで穂積は話し始めた。


私と穂積の、いまと、すこし先のことについて。
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